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韓国2日目

韓国2日目!
ホテルの部屋でハングルのさよならも言えなくてを練習して、3時過ぎに大学路(テハンノ)に向かった。
タクシーに乗って「テハンノ ロカジュセヨ」と言葉も大夫なれてきた。
大学路は名前の通り、たくさんの大学があって、学生がたくさんいる街だった。
日本でいうと原宿のような感じだった。
マロニエ公園という場所があって、そこでやろうと思ったのだが、人が少なかったので、通りに出て、そこで歌いはじめた。
言葉も通じない人に歌うのは本当に緊張した。
準備をしていると、「さくまひでき?知ってる?」という声が聞こえた。
日本からきた観光客の団体だった。
「日本でもデビューしてるのですが、まだまだ無名ですが、がんばってますので応援してください」
言葉が通じただけで、なんだか嬉しくなるものだ。
そして、観光客もいなくなって、さよならも言えなくてを歌うのだが、みんな立ち止まらなかった。
ギターケースに貼ったハングルの広告は見ていくのだが、立ち止まる人はいなかった。
歌える歌も「さよならも言えなくて」しかないので、ひたすら歌い続けた。
なかなか立ち止まらないので、なにを歌うか考えて、「そうだ!冬のソナタだ!」
もちろんハングルでは歌えないので、日本語で冬のソナタを歌ったら、数人が足を止めた。
中にはプレゼントしているCDを手にして帰る人もいた。
・・・・が人だかりができるまでにはいたらなかった。
90分くらい歌い続けただろうか?ギターケースをかたづけて、ホテルに帰った。
「やっぱり韓国では受けないのかな?」そう思いかけていた。
ホテルに帰ると、韓国で会う約束をしていた、韓国人のペニーさんが待っていた。
「さよならも言えなくて」の韓国語に訳してくれた在日韓国人の人の友人だ。
でも、日本語が出来ない。韓国語と英語だった。
僕も片言の英語を使って会話した。
「テハンノはどうでした?」と聞かれたので「ダメでした」と応えた。
その人はものすごくハイテンションの人で、すごく明るかった。
「韓国の人はみんなシャイで、テレビに出ている事が有名人の証で、日本のようにストリートや、インディーズの文化がないんです、でもいいと思っているはずです」
そう言ってくれた。
落ち込んでいる僕に「もう一度行ってみますか!?」と聞いてきた。
同じ結果だったら・・・そう思うと素直に「イエス」が言えなかった。
でも、ペニーさんの勢いに押された、またテハンノに向かった。
地下鉄で行きましょうという事で、はじめて韓国の地下鉄に乗った。
夕方とはちょっと雰囲気も変わっていて、さらににぎやかになっていた。
歩きながら、色々説明してくれて、マロニエ公園に到着。
人もたくさんいて、また緊張していた僕に、ペニーさんは「ヒデキ!ジャパニーズ、ドキョウ!」と言ってガッツポーズをして見せた。
「度胸!」という祖国の言葉になぜか感激した。
「アーユーレディー!?」という合図で「オーケー!」と僕も応えた。
歌いはじめると、ペニーさんがすぐにチラシを配ってくれて、たちまちたくさんの人が聞き入りはじめた。
公園に座っている人、屋台のお店の人、スケートボードをやっている人、通りを歩いている人、がたちまち集まってきた。
「さよならも言えなくて」の韓国語バージョンを歌い終えて「カムサハムニダ」と言うと公園中の人が拍手してくれた。
CDも即座になくなっていった。
大成功だった!
やっぱりシャイなだけで、ちゃんと聞いてくれる人達なのだと思った。
日本と違うのは、歌い始めるとみんな最後までしっかり、真剣に聞いてくれるのだ。
ギターをかたづけて、帰る時もみんな拍手で送ってくれた。

「ありがとうございました!」とペニーさんにお礼を言った。
そのあとも色々韓国語を教えてもらって、僕も日本語を教えたりした。
3カ国語がとびかうと、地下鉄のみんなの注目になってしまった。

「また韓国に必ず来ますね!」と約束をして、別れた。
本当に助けられてしまった。
ペニーがいなかったら今回は失敗に終わったかもしれないが、おかげさまで大成功だった。そして、なによりも教えられたのは、韓国語と英語を話す、ペニーから出てきた日本語「ドキョウ!」だった。
たとえば、夜のマロニエ公園で夕方と同じ気持ちで歌っていたら、きっと結果は同じだっただろう。でもなにが変わったか。
心の持ちようだったのだと今気づく。
度胸!言葉の意味を説明しないさいと言われるとよくわからないけれど、やっぱりこのドキョウという響きが僕の心を変えたのだと思う。

言葉も通じない国の人の前で、その人の国の言葉で歌う、それは大変だったが、チラシの裏の歌詞をみながら、みんなしっかり聞いてくれた、瞳は言葉以上に僕にも伝わってきた。やっぱり、音楽は国境線を越えられるのだと確信した。

数十枚のCDが、それぞれの家のCDプレイヤーから今頃流れているのかな?
そんな事を思って、ソウルの夜空を見上げた。
コートを着ていても寒いはずの風も、今夜はなぜか暖かく感じた。

写真:マロニエ公園で歌うさくま

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