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星空のコンサート  さくまひでき

星空のコンサートは今年で5年目の出演。
当時ストローがはじまった頃に「これから期待できそうだ!」とはじめて思えた会場でした。そして、今回は残念な事にこの5年目の星空のコンサートが一つのピリオドを打つ日になってしまいました。
僕のソロ時代からずっと横でギターを弾いていた笹沢チャーリー昌之の最後のステージになってしまいました。そして脳腫瘍で入院していた小野滋久の復活の日でもあった。

会場に12時に到着して、リハーサルをした。
すでにファンの方が来ていて、早い時間から本当にありがたいと思った。
今回のメンバーはドラムが稲田敦、キーボード松井清、サックス斉藤尚久、という6人でやった。
本番前、楽屋からベランダにでれる場所があって、チャーリーさんと色々話しをした。
この本番前の緊張感を味わえるものこれが最後だと思うと心が痛かった。

19時いよいよ本番がはじまった。
1曲目、星空のコンサートのイントロが入った瞬間から「いよいよはじまった・・・。」という気持ちになった。
コンサートははじまった瞬間からエンディングに向かっている。曲が進むにつれて胸が熱くなってきた。

悲しい顔ばかりしていては、今日を楽しみにしていた人に申し訳ない。
そう思って必死で演奏した。
毎年、このコンサートの為に曲を作っていくが、いつも思うのが、この場所はバックに大きな池があって、そこに30メートルも吹き上がる噴水が見える、そこに緑色のライトが照らされて、本当にいい雰囲気だ。
だから、歌ではなく演奏だけの曲が似合うと思っていた。
そこで今回は「スターライト」というインストロメンタルの曲を作ってきた。
最初スローなサックスのフレーズではじまって、リズミカルになってギターのフレーズになる。演奏していても気持ちよかった。
中盤は松井君と僕のアコースティックなコーナーをやって、メドレーに向かう。
涙そうそう、ではじまり、小野と稲田さんが入って、冬のソナタの最初から今までのイントロ。そこで僕が後ろを向いて、めがねをかけてマフラーを巻いて、振り向くとヨン様になっている、という演出。
みんな大爆笑だった。
そして見上げてごらん夜の星を、後半で客席からサックスの斉藤君が登場、これもまたきまった。
さよならも言えなくて、Goodちょっとパラダイス。と続きコンサートは終わった。

そして会場はわれんばかりのアンコール。
こんなに日にふさわしい曲はなんだろう、とずっと考えていたが、よく考えたら、ドラムが稲田さん。という事は、ストローというグループがはじまった99年4月の初期の4メンバーだという事に気づいた。
右も左もわからない頃にストローというグループを作って、活動をはじめたあの頃。
1枚のCDを最後の予算で発売した。
この曲でだめだったらもう音楽をやめようとまで思っていた時だった。
でも、ほんの少しずつだったが光が見えてきた。このままならいけそうだ、と思って2枚目「遠い記憶」そしてアルバム「LOVE×4=STRAW」を発売する事が出来た。
きっとストローはこの歌がなかったらはじまっていなかったと思える曲「Tearsinthesmile」をストローの初代メンバーの4人で演奏した。

歌っている最中も色々な事が浮かんだ、嫌な事も楽しかった事もみんな今となっては最高の宝物だった。
たった4分の曲が永遠に感じた。逆に言えば永遠に終わらなければいい、そう思った。
「いくつになっても少年でいたいから、笑いながら涙ながせるように」というフレーズが今のストローにはぴったりだった。

涙で歌えなくなっては申し訳ない、そう心で強く思いながら歌った、
でも最後は涙で歌えなくなってしまった。
最後のアカペラのフレーズはあえて、99年のストローの4人がとっていたパートを歌った。

一つの時代が幕を下ろした。そう思った。
10代の頃から音楽をやってきて、曲が売れない、ライブが辛い、練習が辛い、そんなことはいくつも味わってきた、でもなんて事はない、いつでも前向きにがんばってこれた。
でも、避けて通れない道、今までいくつも味わってきたが、なんど味わっても辛い瞬間、それが仲間が離れる事だった。
一緒に歩いてきた道がに別れ道がやってくる、この時はいつも寂しいものだ。
でも、僕がいつも思うのは、しあわせという物は人の数だけあると思う。
自分がどうそれを受け止めるかだと思う。
チャーリーさんは「終わった」のではなく、「はじまった」のだと思う。
そして、その道が幸せであるように僕は願う。
いつでも仲間は仲間だから。

片付けも終えて、いつもと同じように「では、帰ります!お疲れさまでした」と言って去っていった。
「今度、温泉でもいきましょうよ!」という僕の言葉で振り返った彼は、出会った頃と同じ目をして笑って見せた。


コンサートの時にも僕は言った言葉だが。
「いつまで歌えるかわからないけれど、歌える限りがんばっていきます」
音楽をやっているという事はすごく幸せな事だが、いつでも「もう限界かな?」とう瀬戸際を歩いている。
それを支えているのは、お客さんの拍手であり、「よかったです!」とい一言だ。
その力に支えられてこれからがんばって行こうと思います。

この秋は西武鉄道全線ストリートライブという大それた企画を考えている。
そして10月22日のさいたま市民会館 12月12日の大宮ソニックシティー
最高のステージが出来るようにがんばります。期待していてください。

きっと今ここで歌う事をやめたら、今までやって来た活動がすべて無になってしまう。
ストローに稲田敦がいたこと、山地厚臣がいたこと、笹沢チャーリー昌之がいたことを誇りに思い歩き続けます。

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