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吹上 コスモス祭り 

やってきました。地元吹上!
話をいただいてのが確か7月頃だった。僕の中学の頃の友人から電話がきて、実は今年は町でのお祭り事ができなくて、青年部の俺達だけでがんばってイベントやろうって事になったんだよ。という話しだった。
もちろん予算もなかったらしく、アーティストも呼べない。だからさくま頼むからやってくれないかな?と言われて、友人の頼みだったらしかも吹上の為にやるんだったら快く引き受けるよ。という事ではじまった。
何度か打ち合わせをして、気が付いたらもう10月ですからね。時間が経つのは早いです。

朝8時半に会場に行った。場所は荒川土手のすぐ脇にできた体育館のあたりの土手だった(日本語変かな?)
すでに黒澤さん(音響の)がセッティングしていた。予算がないと言っているのに、ものすごい数のスピーカーを骨組みまで組んでセットしていた。
今日のメンバーは小野と僕だけ。
リハーサルをして楽屋に入った。
懐かしい人ともたくさん会った。
僕の後輩(後輩と言っても中学卒業と一緒に入学してきたので直接の後輩ではないのだが)がいた。名前は仮にシュウジ君にしておきましょう。彼はバンドを組んでいて、しかも僕より先にデビューした「メロディー」というバンドのボーカルだ。
今は解散してしまっているという事は聞いたいたので、どうしてるのかな?なんて思っていたのに今日はそのお兄さんが青年部の人だったので手伝いに来ていたのだ。
「久しぶりだね!」と言って色々話した。
神戸の有線放送に僕が行った時にちょっと前に彼が来ていた、とか。FMナックファイブの番組で彼がゲストで出ていて、しまも僕の歌をコメントしていた。
「あの時はやりずらかったですよー!」なんて笑っていた。
お昼のお弁当も一緒に食べて、音楽の話しとか、地元の話し、後輩の話、先輩の話、先生の話とかで盛り上がった。

13時になっていよいよ本番。
すごくたくさんの人が集まっていた。
1曲目のcurariがはじまると、ギターの音がびりびり言ってしまって、すぐにケーブルを変えてなんとか対処できた。
天気も良くすごく気持ちよかった。
今日のイベント名は「コスモス祭り」だったので、急遽さだまさしさんの「秋桜」を歌った。そして「なごり雪」と続き。Goodちょっとパラダイス。
きぐるみの虎まで一緒に踊ってくれた。
そして「さよならも言えなくて」は吹上で歌うとちょっと切なくなる。2人で暮らした町だからだ。今日のこの歌を聴いた人は本当に心に届いたと思う。
そして最後に「ChangeMyHeart」で客席まで行って歌った。
終了後も即売会がものすごい勢いで、大忙しで嬉しい悲鳴だった。
販売を終えて、楽屋で今度の31日の公民館でのイベントの打ち合わせをして、会場に戻るともう夕焼け空でテントも大夫片づけられていた。
最近天気も悪かったので久しぶりに見る夕焼け、しかも荒川のきれいな場所で秋桜も揺れていて、遠くの方の大芦橋が見える。この場所は結構好きで、Foreverと声がキキタイのジャケットもこのあたりだ。

朝早くに来て、夕方に終わってしまう。お祭りの終わった時はいつも寂しくなる。
そして、ちょっと肌寒くなってきた。

「なつかしい人とたくさん会ったな」なんてふと思い出し笑いなんかしてしまった。
幼さなじみのお兄さん、中学の頃の友人のお母さん、僕のいとこの親戚、友人の昔の彼女、一緒に音楽をやってきた大先輩の娘、そしていつも来てくれる人達も吹上に足を運んでもらえると嬉しい。
夕暮れ時にシュウジ君が「では、帰ります」と言った後「すごいですね!」と笑って帰って行った。
本番中もずっと真ん中あたりで見てくれていた。
実際僕のステージを見るのは、10年ぶりくらいだと思う。
彼のステージも実は見た事はなかった、でもずっと昔から知っていて、そして彼がデビューした時も先を越されたと思ったと同時に本気で嬉しかった。
「俺も負けないぞ!」という気持ちでいつでもいられた。
そして今は僕がデビューした。
「同じ吹上なんだから、がんばろうよ!」という僕の本当の気持ちを解ったのかどうか「音楽はずっとやっていきますよ、一緒に共作でCD出しましょうか?」なんて冗談まで言っていた。

土手の向こうに日が沈んだのを見て、ふと彼の言った一言を思い出していた。
「僕、さくまさんと一緒に学校から帰った事あるんですよ」
と言ったのだ
「ウソ!?いつ」僕が全然覚えていなかったのだが、彼が小学校2年、僕が小学校5年の時に、「低学年が一人で帰ってると危ないよ」と僕が言って、一緒に家まで帰ってくれたらしいのだ。
「だから、僕は昔からさくまさんのイメージは優しい人なんですよ」
なんて言っていた。
昔ある人が言っていた「人にしてあげた事は忘れてもいいけれど、人にしてもらった事は絶対に忘れてはいけないよ」
その言葉を思い出した。
僕は覚えていないくらい、小さな事でも、彼にとっては一生忘れない僕の想い出なのだ。
「やさしいのかな?」
ふとつぶやいてみた。
でも、そんな風に人の心でいつまでも生き続けられるそんな自分でありたいと心から思った。
「いやー疲れたね」という小野の声が助手席から聞こえた。
「うん。疲れたけど、すっごく楽しかった」
今日の一本の僕らのステージがいつまでも誰かの心で生き続けてくれたらいいな・・・。
そんな思いで、ふと振り返ると、だれもいなくなった土手に、秋桜が静かに揺れていた。
「おまえの聞いていたのかな?今日の歌を」
そう呟いた。

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