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生涯学習フェィスティバル 吹上公民館

スタジオに明け方到着してそのままちょっとした仕事をした。
「そう言えばなにも食べていないな」
気づけば、29日の夜食べた以来、なにも口にしていなかった。
理由はちゃんとあった。
29日に歯がちょっと崩れている気がするので、痛くはないのだが、歯医者に行った。
もちろんちょっと見てもらうつもりだった。
痛くないのに歯医者にいるというなんとも元気な僕だった。
・・・この話しは長くなりそうなので、12月のコンサートで話す事にして、

すっかり空は明るくなって、9時半にメンバー、スタッフがやってきた。
即座に音響の黒澤さんが「さくま!あれほど言ったろ!収録にしておけって!歌詞間違えるくらいなら収録にしておけばいいんだよ!」なんて大笑いで言われてしまった。

楽器を積み込んで10時に出発。10時5分到着。さすが地元だった。
公民館の周りはすでにお祭りのようで、テントがたくさんでていて、射的やポップコーンが出ていた。
今日のタイトルは「生涯学習フェスティバル」だが、文化祭のような盛り上がりで楽しかった。
機材を運んで、ホールで催しものがやっているので、待機していた。
12時にセッティング開始して、13時には音やめだったので、結構忙しかった。
14時半から僕らは出番だった。
時間がきて、司会の人が紹介する。
僕は後ろ(客席)からの登場だったので、ホールの入り口に待機していた。
この瞬間は不思議なものだ。これから歌うぞ!というのに「がんばってください」とか声をかけられてしまうと、笑顔で「がんばります」なんて応える。
緊張と安らぎの行き交う交差点だ。(古館一郎風)

松井君のピアノがはじまって、Foreverを歌った。
客席の中央を抜けて、2番までは下で歌っていた。
そしてステージに上がった。

今日は耳が不自由な人もいるという事で手話の人が舞台のすぐ下にいた。
耳が聞こえない人は風船を抱かせるとその振動で音楽が楽しめる。と黒澤さんが今まで経験からアイディアを出して、その場で僕が風船をふくらまして、耳の不自由は人にそれを差し上げた。すごく喜んでくれて嬉しかった。
「これで、ここにいる人はみんな音楽を楽しめる訳です!では最後までごゆっくりお付き合いください」
そう言って「YUMEしかなかった」に入った。
そして中越地震の話をした。
実は僕は小千谷という街を5年前くらいから知っていて、有線全国キャンペーンの時に小千谷放送所というのがあって、そこを訪ねた事があるんです。
昔ながらの日本というすごくいい街で、大きなビルもなく、車も少なく、のどかな街。そしてなにより人が温かい街です。
早く普通の暮らしが出来る事をいのって、新潟で作った歌「手紙」そして雪が降る頃には暖かい雪が見れますようにと願いを込めて「こな雪はスローモーション」2曲聞いてください。
そう言って、歌った。
97年から98年にかけて行った伝説の有線全国キャンペーンの想い出は今でも鮮明で、歌いながらも小千谷の街、長岡の街、燕、三条、と次々に新潟の街並が浮かんできた。

そしてリクエストコーナーになった。
「心の旅」をリクエストしてくれた人がいて、歌った。そして「冬のソナタ」
またもやヨンさまならぬ「ヒデさま」が登場した。
そして、「元気」でみんなで踊りを踊って、会場は一つになった。
最後は「さよならも言えなくて」

すぐにアンコールがかかった。
そして舞台に出て、「アンコールありがとうございます!しかも今日はみなさんタダで見てるのに」と大爆笑だった。
最後は「ChangeMyHeart」で幕を下ろした。
大満足のステージだった。
今日はいつもより疲れた気がした。それは寝不足だったからというだけではなかった。
会場に耳の聞こえない人がいる、それでも僕達の音楽を聞きにきてくれている。だから手話の人にしっかりと歌詞が解るように歌っていたのだ。
手話の人もすごいと思う。
歌詞もなにも渡していないのに、その場で僕の歌を聴きながら直訳している。
音楽というのは音が聞こえなくても楽しむ事ができるという事が嬉しかった。
もちろん、聞こえる人に比べれば数倍も不都合はあるが、僕のいつも音楽のあり方についての考えがある。
それは、携帯電話は電波というもので会話をする。空気に電波を通して繋がるのだ。
音も空気を振るわせて伝える。
僕の声帯が震えて、口から出ると、そこにある空気を振動させて、マイクのコーン紙を振るわせる、そしてケーブルを通って、スピーカーを振るわせる、それがそこの空気を振るわせる、そしてそこにいる人の鼓膜を振るわせる。それが音の原点だ。ところがこれは音楽の原点ではないと思う。というのは一つ乗せ忘れているもにがある。
さっきの説明では、はじまりは僕の声帯、終わりは聞く人の鼓膜。そうではなく、始まりは僕の心で、そこから発した心が声帯を震わせる。すると、最後は鼓膜ではなく、その後に聞いている人の心まで振動するのだ。そうなると、音は鼓膜を振動させないと伝わらないが、音楽は鼓膜でなくてもいい、体でもいいのだ、体に伝わった振動が心に入るのだ。
そんな風に人の心のやりとりは続いてきたのだと思う。形のない心だがちゃんと伝える事が出来るのだ。

昨日はラジオで生歌、これも僕の心から発したものが、声帯、マイク、ケーブル、そして電波になり、スピーカーを振るわせて、鼓膜に入り、心へ届く。
今日も心から声帯、マイク、ケーブル、スピーカー、そして鼓膜や体を震わせて、心へ入るのだ。
心というのは実は伝えにくいようで、簡単に伝わるのだと思います。その人の心次第で、ちゃんと伝わるのでしょう。

今日はそんな事を改めて気づかされた一日、・・・二日間でした。

スタジオに戻った頃はもう薄暗くて、そこで全市町村キャンペーンの予定表を配った。
みんなでじっくりと見て、作戦を練って「よし、がんばろう!」
という一言でみんなの心が一つになった。

「おつかれさまでしたー」
みんなが帰ったあと、急に眠気がさしてきた。
「そうか、寝てなかったんだ」
あまりに楽しくて、充実していてそんな事はすっかり忘れていた。
そんな人生を送れている僕は本当に幸せだとつくづく感じた。
今日はなんだかいい夢が見れそうな気がします。
「おやすみなさい」


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