kumakuma-blog

13.2.23 あいの郷 介護老人保健施設  (埼玉県)



昨年の暮れに母から話をもらったのです。

おじさんが入っている施設で歌ってきてくれという内容でした。



母の兄弟で、長男、僕からするとおじさんです。
小さいこ頃からよく知ってます。
腕相撲をすると、絶対勝てなかったおじさんでした。

羽生市の三田ケ谷のおばあちゃんの家に行くといつも
僕と兄をかわいがってくれました。
犬や猫も買っていて、すごく楽しい想い出ばかりです。

そのおじさんが具合を悪くして、病院に入院、
そして、今は施設に入っているのです。
言い方はよくないけど、ぼけてしまっているのですが
母曰く「お前が歌えば、ひできか~、って思い出すからもしれないから、最後の孝行で
歌ってこい」という事でした。

イオンモール羽生のイベントを後にして
あいの郷へ
到着すると、職員の方が待っていてくださり、機材も運んでくださいました。
さらに立派な「さくまひできコンサート」の看板も作っていてくださいました。

ステージが最初はなかったのですが、急遽作ってくださって、本当にありがとうございました。

準備が終わり、控え室へ行こうと思ったところで
「ひでき!」と引き止める声。
見ると、僕のいとこでした。
入居しているおじさんの息子さんと、お母さんでした。
息子さんっていっても
僕が小さい頃にもう車に乗っていたお兄さんでしたから、
そうそう、そのお兄ちゃんの車にのせてもらって、高速道路を走ったのを覚えています。
あの頃は100キロと超えると「キンコウンキンコン」ってアラームがなったんですよね。
それも覚えてます。

そのお兄ちゃんとお母さんが来てくださっていて
苺をいただきました。
なんと30年ぶりくらいの再会でした。


控え室で準備をして本番の時間になり、ステージへ行く時
「ひでき!」また引き止める声。
これまた親戚のおじさんです。
母の兄弟はたくさんいるので、おじさん、おばさんがたくさんいるのです。

実は母から聞いていたのは、「おじさんの容態が
よくないみたいだから、もしかしたら、自分がいる階から降りてこれないかもな~」
ですが、本番のステージ前におじさんがいたのです。
他のおじさん達も「ほら!吹上だよ、ひできだよ!」と声をかけていました。

僕もそばい行ったのですが、うつむいていてわかっていないようでした。

そして司会の方の呼び込みでステージへ。
たくさんのおじいちゃん、おばあちゃんが楽しみに待っていてくれました。

「見上げてごらん夜の星を」からはじまったステージ。
昭和の歌もたくさん歌って、
みんなで声をあげて歌ってくださいました。
そしてオリジナルの「どこで暮らしていても」も
歌いました。



自分の家を離れてくらしている方もいるでしょう。でも
場所のふるさともありますが、自分の心の中に
かけがえのないふるさとってあるんですよね。
そんな話にみなさん大きくうなずいてくださいました。

途中でリクエストで「パイプル君ロック」というのがきて
びっくり、さらに「ケンゾーのうた!」とか
「むさしの村のうた!」って続々リクエスト。
すべて歌わせていただきました。
さすが羽生ですね~

後半は昭和歌謡をみんなで
歌いました。

みなさん本当に輝いた瞳で聞いてくださっていて
すばらしい時間がすぎて行きました。

最後はアンコールまでいただいて、「ふるさと」を全員で歌いました。

50分くらいの時間と聞いていたのですが
あまりに楽しくて、予定していた歌が4曲くらい時間におさまらなかったので
これはまた是非次回歌いに行きたいと思っています。

歌いながら、時々、おじさんの方を見てはいたのですが
うつむいたままでした。

花束をいただいて、ステージをおりて、
おじさんの方へ。
「聞いてくれた?おじさん」って言うと
わかったのか、わからないのか?
目を合わせて、かるくうなずいてくれました。

歌は耳から届くものと思いがちですが
心に届くもの。
たとえ聞こえていなくても、下を向いていても
なにか心に伝わったのならば、嬉しいと思いました。

親戚の方にも御挨拶して、
控え室へ。

片付けをする時も、おじいちゃん、おばあちゃん達が
「よかったよ、サインもらえるかい?」って声をかけてくださいました。

片付けの時には、親戚の方も、おじさんの姿もなかったのですが
いつかあの頃みたいに、みんなで集まってサイダー飲んで、猫と遊んで
笑いたい、、、、、、
そんな風に思ったのですが、
二度と帰らない日々ってあるのかな?とも
ふと思いました。

でも、僕の心の中には、今でも
あの頃のサイダーのんで、猫とあそんで
おじさんと腕相撲をして、あのすばらしい日々は残っています。

今でも聞こえてくるようです。
「ひでき、腕相撲するか~、おじさんに勝てるかな?」
「うん、する! やっぱりおじさんは強いや~」






< 前の記事    一覧へ    後の記事 >