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71カ所目、さいたま市:大宮ソニックシティー

「達成です」そう言いながら各市町村の名前を叫んできた「ふるさと埼玉全市町村71カ所ライブキャンペーン」もいよいよファイナル。
4月29日、吉見町から駆け足のように過ぎてきた2ヶ月半でした。
思い返せば色々な想い出がありました。
気球に乗って歌ったり、雨が突然降り出したり、おまわりさんに止められたり、雷が鳴ったり、タクシーの運転手さんが車を降りて見に来てくれたり、そして沢山の方が僕の歌に足を止めてくれました。
そんな想い出を噛みしめながらのコンサートでした。

朝は5時半に起床、会場の大宮ソニックシティーには7時半に到着。
すでにスタッフは集まっていて、搬入の準備が整っていました。

ソニックシティーはもう何度もやっている場所で、しかも照明も音響もみんな不動の仲間でやっているので、慣れたものでした。
午前中のうちに楽器が並んで、コンサートの格好になっていました。

順調に進んでいた準備だったが、トラブルが発生した。
今回は特殊効果で花火を使う予定でした。もちろん既に特殊効果のスタッフは花火のセッティング済み。そんな時に火薬を使う許可が必要な事が判明。
消防の条例で火薬使用の承認がおりなければ、絶対に使う事が出来ないのだ。

承認を得るには消防署のセンターに行って、書類を沢山書きまとめて、受付してもらって、その後10日はかかるくらい厳しいものなのだ。

「仕方ない、火薬の演出はなしにしようか」そんな事を話している所に僕は
「今から行ってきましょう、消防センターに」
もちろん休日の受付はしてくれないし、簡単な書類しかないし、ましてや今日使用!
絶対に承認がおりない事はわかっていた。
でも、なにもしなければ演出はなしになってしまう。だったらやるだけやってみよう、という事で、僕はすぐに車を出して、結構遠くにある大宮西消防センターに向かった。
祈るような気持ちで到着して、大急ぎで受付に駆け込んだ。

幸い人がいて「急ですいません!」と事情を話した。すると「えー今日ですか?」という反応が返ってきた、でも何度も頭を下げて頼んだ。
なんとか二階の担当に話しが進んで、僕も階段を駆け上がった。
「すいません!今日なんです」と事情を話すと、二人の担当者が書類に目をやりながら、「うん、本当は前もって提出してもらうものですが、今日のこれからでしょ?」
「はい、これから歌うんです!」
「では、承認印を押しますが、今度からは早めにお願いしますね」
と言って、なんと承認がおりたのだ。
僕も何度もお礼を言って、扉から出ようとすると、担当の方が笑顔でこう言った。
「がんばってよ!」

その言葉と承認の印を押した書類を抱えて、ソニックシティーへと戻った。

照明の黒須さんと舞台&音響の黒澤さんに、「承認!おりました!」と言って書類を見せると、「奇跡だよ!」と驚いた。
「その日におりるなんて聞いた事ないですよ」、とびっくりしていた。

だから僕も冗談半分で言った。
「相手も人間ですから、心ですよ、マニュアルじゃなくって、心の方が大切って事ですよ」自信たっぷりに言ったあと、楽屋に戻って肩をなで下ろした・・・・
「ふぅー よかったー」
一番驚いているのは、僕だったかもしれない。

さて、これでトラブルも解消。
予定通りに時間が動きはじめた。

リハーサルがはじまって、各楽器のモニターチェック、そして映像を使うので映像のチェック、すべての流れをリハーサルする。

リハーサルが終わって、いよいよ開場。

開場の時の舞台裏って、結構緊張するんです。
さっきまで、スタッフとメンバーしかいなかったスペースにお客様が入ってくると、一気に緊張感が高まります。もちろんいい意味でですよ。

ざわついた客席から聞こえてくる声を舞台袖で聞いていると、「今日もいいステージやるぞ」って思えます。

開演5分前になると、だれが合図する訳でもなく、みんな袖に集まってくる。
そして、僕を中心にメンバー全員で手を合わせて気合いを入れるのが習慣だ。
その時に必ず僕が一言コメントをする。その時によって様々だが、今回も一言コメントがあって、最後に「おー!」で気合いを入れる。

ここで今日の各セクションのメンバーを紹介しましょう。
ステージメンバー
ドラム:山地厚臣、ベース:小野滋久、キーボード&コーラス:松井清、ギター:吉田修也、サックス、ギター、フルート&コーラス:斉藤尚久。
照明チーフ:黒須敦
音響&舞台チーフ:黒澤一
CDグッズ即売:加須CDショップコメット(松永さん)
特殊効果:亜聖プランニング
それ以外にも沢山の方が動いてくれました。

開演のベルが鳴り映像がはじまる。
1曲目は「出会えてよかった」
そして「それぞれの旅」「Mynameis」と続いた。
今回はギターを持つ曲が少なく、その分、歌に集中した。

お客さんも、蒸し暑い連休の真ん中というのに、沢山の方が集まってくれました。

最初のトーク。実はここでコンサートのすべてが決まると言ってもいいくらい緊張する場所。
ここの話しで心が繋がらないと、最後までその体温で行ってしまう事がある。
いつものようにハンドマイクで歩きながらトークをしていると、会場と段々一つになってくるような気持ちになれた。「成功だ!」心の中で今日のコンサートがいいものになる予感が強くなった。

「ここにいるから」「遠い記憶」と続き、ピアノのイントロがはじまる。
「僕が僕でいられた日」。
僕の声は色々な楽器と組み合わせる事が多いが、やっぱり一番相性がいいと思っているのが、ピアノの音色だ。
この歌はそれをフルに生かしたアレンジになっていたので、イントロがはじまると、心が歌に入っていくのがわかるくらい、感情が入っていった。

4曲のバラードが終わり、アコースティックの編成になる。
楽しいトークもあり、会場も笑顔になっていった。
ここでカバー曲、「イエスタディワンスモア」を歌った。
カーペンターズは大好きなアーティストですね。カレンの歌声は聞いているだけで涙が出るような不思議な魅力を持っていると思います。
日本の男性だと玉置浩二さんが同じ魅力を持ってると思います。
僕もそんなアーティストになれるように日々努力しなくては・・・・。

英語の歌だったので、覚えるのに何日も費やしてしまいましたが、これも一つの経験として、大切な事ですからね、ちゃんと覚えました。
続いて、童謡の「ふるさと」。
今回はふるさと埼玉キャンペーンのファイナルですから、ふるさとという事についても表現したかったのです。そこで、心の中にある記憶という名のふるさと、そして場所のふるさと、を2曲続けてみました。

アコースティックコーナー最後は、「SweetFlower~サクラ色~」で、みんな踊って歌って、盛り上がった。

そして、映像が映し出される。
今回のメインとも言うべきキャンペーンの時の映像を10分間に凝縮して放映した。
この編集は僕がやったのですが、実ははじめ作っていたら、2時間30分の映像になってしまったんです。ちょっとずつ映像を繋いでいったつもりだったのですが、気が付いたら2時間以上。これでは、コンサートではなく、映画の上映会になってしまう(笑)
そして、さらに編集をして10分で収めた。

編集をしている時も、「編集をしている」というより、「思い出している」という感じで、一カ所一カ所を思い出していました。(だから2時間以上になってしまうんですよね(笑))

映像が終わると、いよいよ「ただ見つめてただけの初恋」。
この歌を歌うとやはり、走馬燈のように今までの70カ所の場所を思い出します。
歌っていて、目にはソニックのホールが見えているのに、心にはそれと同時に数々の駅前やCDショップ、土手、ショッピングモール、そんな場所が浮かんでは消えて行くようでした。

今回のテーマ「光と影」ですが、最近の僕のテーマでもあるんです。
「曇り空の人生ではなく、影があってもいいから、光輝く人生を生きたい」
嫌な事もなく、かと言っておなかを抱えて笑う事もない、光も射さなければ、影も出来ない曇りよりも、強い日射しの中で、出来る真っ黒な影、でも紛れもなく、すぐ近くに眩しい程の光がある。
キャンペーン中に僕の広告を見て、手紙をくれた友人がいた。
彼は今、マルタ共和国で本マグロの養殖をやっている。
あまり目立たない彼だったけど、海外で成功を収めた彼の言葉を読んで、まさに光と影だと思った。そして昔の楽しかった想い出話しと、今、大成功した彼の話をした。
話しながら、本当にあの頃がよみがえってくるようだった。

僕も影の時があってもいいから、曇り空ではなく、光輝く場所を見つけて行こうと思います。
そして「さよならも言えなくて」

後半は「Goodちょっとパラダイス」「YUMEしかなかった」と絶好調。
花火も無事に吹き出した。
最後の「愛>夢>愛」は大きなクマのぬいぐるみを抱えて歌った。
この巨大クマは実は前回12月のコンサートで投げる予定でしたが、演出の都合で熊投げがなくなってしまったので、半年間、僕の家で眠っていたんです。
夜な夜な、階段から下りてきては、冷蔵庫の中のハチミツをなめていました・・
天気のいい夕暮れは、2階の窓から夕焼けを眺めていました・・・・
・・・そんなわけないか(笑!)

そのクマを投げた。
大きくていつも前の方にしか飛ばないんです。ぶつかってしまった方は本当にすいませんでした。

愛>夢>愛の最後でまた打ち上げの花火。

アンコールの拍手が響き渡った。

アンコールは「たった一人のアンコール」
これもギター一本で歌うと心があふれてきてしまう歌です。

最後にもう一度メンバーを呼んで、「ChangeMyHeart」を歌った。

今まで塗ってきた地図を持って、最後1カ所残った、71カ所目、さいたま市を塗った。
塗る時も、いつものように「今日もさいたま市歌わせていただきました、ここで赤く塗りたいと思います・・・・・達成です、ありがとうございました」と言った。
いつもは何気なく言っていた言葉でしたが、よくよく考えたら毎回毎回同じ言葉を言っていた事に気が付いた。
昨日までは普通に口に出てた言葉でしたが、今日はこのセリフがものすごく大切に感じました。

塗り終わって、地図を両手で持って頭を下げた時は本当に涙があふれそうでした。

その後メンバーとお客さんも入れて記念写真を撮った。

そして、もう一度「ただ見つめてただけの初恋」を歌った。
よく考えてみると、71カ所全部で歌って来たので71回、でも時には2回も3回も歌った事があるので、このキャンペーンの間に「ただ見つめてただけの初恋」を100回以上歌っているんですね。その100回、すべてに思い入れがありました。

この時に歌った「ただ見つめてただけの初恋」は格別でした。
「黄昏の~」と歌い出した瞬間に、2ヶ月半の想い出が浮かんできました。
その結果、このファイナルにこんなに沢山の人が集まってくれた。
それを交互に見ていると、嬉しくて、感激で、ありがたくて、本当にキャンペーンやってよかった、と思えました。

この歌で終わる予定でしたが、さらにアンコール。
「オリオン」でふるさと埼玉全市町村キャンペーンの幕を下ろした。

コンサートやるにあたって、いつも真っ白からはじめます。
まるで塗ってきた地図のように真っ白です。
そこに核になるテーマを描いてイメージを膨らましていく。その途中で、黒澤さんにイメージを話す。すると「それは無理だよ」と言われる。
どんどんイメージを膨らましていくと、ますます「絶対に無理だよ」となる。
でも、最後の最後にはそれをすべて現実に変えてくれるのだ。
映像さんも、特効さんも、僕が描いたイメージを現実にしていく。
照明さんも、「オリオンで星を出して欲しい」僕の無理な一言に、「えー!!」と言いながら、当日行ってみると、ちゃんと用意されている。

きっと僕はいつもゼロを1に変える作業をやっている。でもそれをみんなの力で、かけ算で、2から4、そして8・・・・へと、膨らましていく。
今回も沢山の支えで、大成功のコンサートになりました。



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