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大宮ソニックシティー 『遠くに聞こえたメロディー』

今回のテーマは「遠くに聞こえたメロディー」。大宮ソニックシティーホールでどんなメッセイージが伝えられるか、朝からどきどきしていた。

毎回9時に会場に入り準備をするのだが、今回は照明や音響の準備を迅速に行う為に1時間早く入った。
しかもそのさらに1時間前にソニックシティーに集合。という事は7時には会場に到着していた。
出発した頃はまだ真っ暗だった。

7時から4トントラックから2トントラック(地下へ搬入する為の車)に機材を積み替えた。
この時点で15人近いスタッフが集まっていた。
トラックを何往復もして機材を搬入する。
その頃メンバーも続々とやってきた。
もちろん一番に着いていたのは、僕と小野、そして松井君、その後ギターの倉川が到着、続いてドラムの山地、そして楽器の都合で大夫遅い入りの予定だったサックスの斉藤君もすごく早くに到着した。

各部署の仕事を手際よく進めていく。今回は本物の大工さんも参加していて、舞台作りもスムーズだった。
照明の黒須さんもすごい早さで準備をしていく、音響と舞台の黒澤さんの声がホールに響くと、僕も「さて、いよいよコンサート当日なんだ」という実感する。
ロビーではHSDスタッフの金井がなにもないロビーをお客様の出入りがしやすいようにテーブルを並べて、そしてポスターを貼り準備をしていく。
客席ではビデオの馬場君が三脚をたてて、何台ものカメラを使ってチェックをする。
カメラの青山さんも大きな望遠レンズをのぞきながら、いいアングルをさがしている。
映像のチャックも映像さんと、実際映像を出す黒須さんと、制作をした小野とで打ち合わせをしている。メンバーは楽屋でそれぞれ最後の練習をしている。
すべての人が本番のコンサートに向かって必死で動いていた。

明かりのチェックも終わりいよいよサウンドチェックに入った。
誰もいない客席に響く歌は、この数時間後に入ってくるお客さんの笑顔を想像していた。

順調に進んでいた、リハーサルにトラブルが発生した。
オープニングで振り落とされるシャ幕(白く透ける布)が落ちないのだ。
1曲目の途中できれいに落ちる演出なので、失敗する訳にはいかなかった。
黒須さんも黒澤さんも僕も慌てて、もう一度細かくチェックをした。
3回目にやっときれいに落ちた。ちなみに一度落とすとまたセットするのに15分くらいかかる、そして「これで完璧だろう」というところまでチェックをして、いよいよ客入れになった。
16:30だった予定がちょっと押して16:50から開場した事は、本当に申し訳なかったとみんなここから思っています。

楽屋ではメンバーが着替えをしていた。僕も慌てて着替えた。
今回は袖スタッフに和田君という若いアーティスト志望の人が着いてくれていた。
僕のギター出してや、弦が切れた時の対応、イスだし、熊だし、着替え等すべて彼にまかせられたので、すごく助かった。

17時15分 いよいよ本番がはじまる。
袖ではメンバー6人で気合いを入れて、ステージへ向かった。
今回はシャ幕があったので、ステージ上に最初からいるのが演出だった。
ステージに出るとすでにお客さんの姿は見えた。「たくさん集まってくれて嬉しいな」という気持ちでいっぱいになった。
雲の早回しの映像が映って、松井君のキーボードが入る。
そして、「寂しくないと~ほらまたウソを」と歌い出す。そうだ「Forever」だ。
サビまでは映像のまま、シャ幕の中で歌う。
そしてサビから舞台に明かりが入り、シャ幕が一気に落ちた。大成功だ!
そごく心から歌えた「Forever」だった。
続いて「ChangeMyHeart」「出会えてよかった」と続いた。
お客さんも手拍子をして盛り上がった。

そして最初の挨拶。
今回は道をテーマにしました、舞台場も道です。と言うと、みんなステージ場をのぞき込んだ。前の方にいる人はセンターのスロープの白い線が見えなかったのかもしれない。
なかなかみんなにわかってもらえるような美術は難しいと思った。
「最後までごゆっくりお付き合いください」
そして「エピローグ」がはじまった。
続いて「遠い記憶」ここで映像(白黒の静止画)を使った。
色々な昔を感じさせる写真を写しだしていく。本等で使っている写真を見つければ早かったのだが、写真にも特許があるので、なんとか自分が持っている写真や、改めて撮影した、懐かしい写真を使用した。中には僕のおばあちゃんや、兄の昔の写真も使っていたが、きっと見ている人はわからないでしょうね。ただ、お客さんの中にいとこがいたので、その人は気づいたようです・・・。恥ずかしい。

次は松井君のピアノで「足でまとい」
僕はイスに座って、しっとりと歌った。
改めて「いい歌詞だ」そう実感して歌っていた。

次のコーナーではメンバーが担当楽器に似た楽器を使って演奏するコーナーだ。
ここでメンバー紹介もした。
キーボード:松井清はおもちゃのピアノ、ギター:倉川知也はアコースティックギター、サックス:斉藤尚久(たかひさ)はフルート、ドラム:山地厚臣はカホーンという打楽器、ベース:小野滋久はアコースティックベース、そしてボーカルさくまひできはウクレレを弾いた。
ここでのトーク途中で韓国に行った話しになって、ハングル語の「さよならも言えなくて」を歌った。今回はこの歌を韓国語に訳してくれた、ジュンさんが会場に来ていたので、緊張してしまった。
そして「記念日」「ラストクリスマス」を歌った。
次はアカペラで「聖夜」この歌は初め今回のコンサートの予定になかったが、黒澤さんのリクエストで「この歌を今歌わなかったら、1年また待つのか!?」なんて言われた。きっと本人も聞きたいようだった。

聖夜が終わると松井君のエレピの優しい音がホールに響いた。
そして「ラストシーン」のイントロ。
切ない旋律が僕のこころをさらに駆けめぐった。

次はいよいよメンバーが待ちこがれたインストロメンタル(歌詞なしの曲)で「スターライト」だ。
9月に行った星空のコンサートの時に作った曲で、その時以来披露していなかった曲だ。サックスのフレーズが一気にホールのムードを変えた。
僕のギターフレーズを除いて、完璧に決まった!。
「inthosedays」が終わると、「声がキキタイ」。この歌は真夜中の車の中で作った歌で、その時は本気で切なかったので、歌いながらすごい感情がこみ上げてきた。

次のトークはリハーサルでも一度も話していない話しだった。
学生時代の話しをして、「僕もツメ入りのがくらんで学校に通っていました、今では想像つかないでしょう?」なんて話しをして、「今度メンバーみんなで制服でコンサートやろうか、もちろんお客さんも」なんて言ってみんな大笑いだった。
中学の頃いつも一緒にいる仲間がいた、そしてギターを一番最後に買った「よっちゃん」という友達が、「ギター教えて」と僕を訪ねてきた。なかなか教えてあげる時間がなくて、結局彼は20歳の頃に交通事故でこの世を去った。
「なにかをしてあげようと、思った時が、なにかをしてあげる最高のタイミングだと思います」そう話して。
「もしもこの命があと1月と言われて、その期間に3つだけ願いが叶うとしたら、なにを願いますか?、僕なりに考えて作った歌、三つの願いを聞いてください」
そして、ギター一本で三つの願いを歌った。
途中からバンドも入ってくると感極まって、2番の歌詞が歌えなくなってしまった。
歌いながらも、よっちゃんがどこかで見ているかな?なんて事を考えていた。

歌い終えると、映像が映る、カーテンが揺れている映像。
そして「さよならも言えなくて」のイントロ。
今回のメインソングだ。
ギターを持たずに歌ったので、ものすごく心が入った。
僕らには映像は見えないが、リハーサルで何度も見ているので、今どんな映像が映っているかをイメージ出来た。
最後のサックスのフレーズが歌い終えて、心冷めない僕の胸に響いた。
普段ここでフーとかアーとか歌ってしまうのだが、今回は声が出ない程だった。

後半はみんなで盛り上がって、「元気」「Goodちょっとパラダイス」
最初小さい熊が登場、そして客席へ投げた。終わったかと思いきや、山ちゃんのドラムでまたはじまる。そしてその締めで、中くらいの熊が登場。
客席に投げた。
そしてまた山ちゃんのドラムが入って、「もう熊ないよ!」と僕が叫んだ。
そしてその締めになった時、スタッフの和田君が大きなダンボールを引きずってきた。
会場は盛り上がった。
そして、そこから大きい熊が出ると思いきや。すっごく小さい熊が登場。これは大爆笑だった。
それをバケツに入れて、次々に投げた。
最後はその箱から巨大熊が登場。これはなんと、韓国で僕が買ってきた韓国産の熊のぬいぐるみだ。
勢いよくなげて、本編終了!

アンコールの波が押し寄せてくる。
着替えを終えて、ステージに出た。

「ここにいるから」はいつ歌っても暖かくなれる歌だ。
メンバーは前に出て、次々に花束が来た。
中には市町村キャンペーンの時、白岡駅であった、白岡中学校の生徒さん達も花を持ってきてくれた。
持ちきれないくらいになってしまった。
そしてメンバーを紹介した。
最後に一人残って、今日は朝早くからみなさんの見えないところで動いている仲間がいます、そんな仲間にも盛大な拍手を!と言ってスタッフに拍手を送った。
「今日はアンコール1曲しか用意してなかったのですが、どうしてもやりたい事があって、もう1曲だけお付き合いください」そう言って、今日のテーマの説明をした。
「遠くに聞こえたメロディー、というテーマですが、僕は歌を作って、自分の歩いてきた道の上で、例えるなら、スナップ写真を撮っていくように、歌と作っていく、でもきっと誰もが道の途中でメロディーを作っているのだと思います。人生を振り返った時、すべてを思い出せるわけではない、楽しかった事、悲しかった事、が断片的に思い出せる。きっとその瞬間にメロディーによく似たなにかが生まれているのでしょう。だから振り返った時に鮮明に思い出せる。そしてこれからの道でも素敵なメロディーが生まれるように、いつも笑顔で元気にがんばって行きましょう。辛い時はきっと今まで作った遠くに聞こえるメロディーが今の自分を支えてくれる。」
そんな話しをして、最後に生の歌声で「さよならも言えなくて」を歌った。

これだけ大きなホールでマイクを通さない声でちゃんと聞こえるか、企画の段階でみんな不安だったが、僕は出来る!そう信じていた。
今日のコンサートで一番緊張するシーンだった。
声も大夫かれてきている事に自分で気づいていたが、精一杯歌った。
最後の声がホールに響いて、終わった。

最後のBGMが流れてくる中、僕は右、左、そして中央の順で頭を下げた。
そして、スロープを上がって、頭を下げる。
下げきって最後の映像。という流れだった。すべて僕のタイミングにかかっていたが、いただいた花束に目がいった。持って帰らないと!そう思って、すぐに抱えて、頭を下げた。ぴったりで映像がはじまった。

袖で映像を見ていた。スタッフの名前がロールしてくる。
そして最後に僕のメッセージが映る
「これからの道の上に」「素敵なメロディーが」「生まれますように」
3段階で映る。最後の言葉が出たときに拍手が出たら大成功だね!
と黒澤さんも黒須さんも僕も言っていた。調光室、客席PA卓、袖の僕、その3人が別の場所で息を飲んだ瞬間だっただろう。

盛大な拍手がホールに響いた!
瞬間僕は「やった!!」ガッツポーズになったて、涙が出そうになった。

一つのコンサートを成功させるのに、何人もの思いが入っている。
それが成功するという事は本当に嬉しい事だ。
そして、その成功とは、やるべき事がちゃんと出来たという事ではなく、やった事によって、お客さんの心に届いた、という実感が成功を生むのだ。

こうして今年最後のビックイベントが終わった。
すべてのスタッフが最後の最後まで残っていてくれて、最後の楽器がトラックに積み込まれる瞬間を寒い大宮の夜の中、見守っていた。
ソニックシティーの裏通りで、僕が挨拶「みなさんの力で大成功できました。本当にありがとうございました」
そして、みんなで拍手をした。

「また来年も一緒にがんばりましょ!」黒澤さんの言葉が響き、みんなまた笑顔になった。「その前に打ち上げを温泉でやりましょうか!」
みんなの顔がさらに笑顔になった事は間違いない。

その笑顔に確かの満足感を僕は心に感じ取っていた。
まだ今年は全市町村キャンペーンが続きます、そして来年のコンサート予定も着々と決まっている。
これからの活動も是非とも応援してください。
今日は本当に素敵な時間を同じ道の上で過ごせて幸せでした。
来ていただた方、本当にありがとうございました。
そして、予定があってこれなかった方、是非来年お待ちしています。

さて!今年も残りあと半月!
がんばっていきましょ!!!

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