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大宮ソニックシティ コンサート~その愛の旅人~

夏のソニックシティコンサートから、あっという間に冬のソニックコンサートになってしまいました。
思えば今年は本当に時間の流れが速いです。
それも、デビューあり、全市町村キャンペーンあり、秋の交通安全あり、東京23区キャンペーンあり、ですから、早い訳ですよね。でも本当にそれって嬉しい事です。

この冬のソニックシティの日って、家から出る時、まだ真っ暗なんですよ(笑)
そこで、小野と、松井君と集まって、白い息を吐きながら「おはよう!」って言うと、なんだか、みんなでスキーでも行くような気分になってしまいますね(笑)

さて、会場に7時45分に到着。
もう完璧に段取りがわかっている仲間達が集まって準備がはじまる。
普通アルバイトさんは、指示をして動くのが普通だが、毎回同じメンバーが来てくれるので、よくわかっていて、どんどんスピーカーやら、大道具が運ばれて行く。
ステージ上では、照明の準備も着々と進んでいました。

今回のコンセプトはピアノの弾き語りで幕が開くという事、そして、2部構成にして、2部の時のバンドは、段を組んだりしないで、みんな真っ平らな舞台に立つという事でした。
ライブハウスのようなノリにしようと思ってこのようにやってみました。

バンドのリハーサルを終えて、今度は第一部のリハーサル。
その転換の時に、休憩があったので、「ちょっとトイレ行ってきまーす」
と言って、楽屋のトイレに行けばいいものを、階段を下りるのが手間だったので、「ホールのトイレでいいや」と思い、行ってみてびっくり。
もうお客さんがロビーにいて、僕の姿を見られてしまいました。
びっくりして、トイレにも行かずに、舞台に戻って、1部のリハーサル。

そして、オープニングの形を作って、いよいよ開場。
この瞬間がドキドキなんです。
まず、大慌てで本番のステージでの準備をするんです。
途中で使う小物一つにしても、ちゃんとした場所に置いておかないと、本番で大慌てしてしまいますからね。
そして、衣装に着替えて、メイクして・・・・。

本番直前は、必ず、3本柱の3人で会う事になっている。
音響舞台全般の黒澤さん、そして照明の黒須さん、そして僕。
最後の最後の確認をして、気合いを入れて、それぞれの持ち場へと向かう。そこが、最後の別れ。極端な言い方かもしれないけれど、これ以降はみんな何があっても、やり直しは出来ないという気持ちを持っているのだ。
次に会う時は、「お疲れさまでした!」の瞬間なのだ。

本番の準備が出来て、時間がやってきた。
「さて行くぞ!」と思ったのは、僕一人。
それもそのはず、普段はメンバーと一緒に楽屋からステージに向かうのですが、今回は3曲目まで、僕一人。
「がんばってください!」というメンバーに後押しされて、そでに付くスタッフと一緒に舞台に向かった。
この時は、もう頭の中は潔くなっている。
「やるしかない!」そう言い聞かせているので、緊張もさほどしない。

そして、緞帳の閉まった舞台中のピアノの前に座った、その瞬間。。。
ものすっごい緊張でした(笑)

この幕の向こうに沢山の人が、今日の日を楽しみに待っていてくれている。
そう思うと、心が段々熱くなっていった。

「本ベル入ります」という舞台スタッフの一言が聞こえて、お客さんにはまだ、見えていない舞台の明かりが、オープニング明かりに変わっていく。
「はじまるぞ!さくまひでき!」
そう自分に言い聞かせた。

ゆっくりと緞帳が上がると、ピアノに座った僕がいる。
大きな拍手の中、「Forever」のイントロが、お客さんのすき間をゆっくりと埋めて行く。

まったくのピアノ弾き語りで、「あなたが消えてゆく」「オリオン」と続いた。

そして、松井清を紹介して、「足でまとい」がはじまる。
次ぎにコントラバスの小野滋久を紹介した。
東京23区をまわっている話しから、温泉話しになって、小山遊園地の跡地に「思川」っていう温泉があるんです、という話しへ、そして、遊園地の話しをして、「次の歌は、短い間ですが、歌の間だけでも、子供の頃へ気持ちを戻して聞いてください」と言って、「あのお化け屋敷はまだあるのかな」を歌った。

ここから先はほとんどアドリブ。
「元気」だったのですが、アレンジをブルースっぽくして、弾き方も、アレンジも3人がその場できめていくという面白い試みでした。
2人がどんなプレーをしてくるかは、わからない分、「おお!そうくるか!?」って感じで、本当に楽しかった。
途中お客さんとの掛け合いも盛り上がった。

第一部最後は、「青い地球」。
この歌は歌い慣れてきている歌ですが、いつ歌っても、心から歌える歌です。

緞帳が下りて、楽屋に戻った。
すぐに2部の衣装に着替えるものの、手がふるえていた。
50分、7曲という短い時間でしたが、そうとう緊張していたようで、まだ手がふるえていた。

もう準備万端のメンバーは先に舞台へと向かった。

ちょっと遅れて僕は舞台へ行った。

山地厚臣のドラムのリズムで、再び緞帳が上がって行く。
「Curari」という懐かしい曲に続いて、斉藤尚久のサックスがイントロを彩る「声がキキタイ」と続いた。
すっごく入り込めた、すべての曲に魂がしっかりと入り込んだ2部になった。

インストロメンタルの「スターライト」では、吉田修也のエレキギターも光っていた。
そして、「いま守りたいもの」「舞姫」。

後半は総立ちの中、会場を二つに分けて、掛け合いで「StepintheBROADWAY」で盛り上がり、「壊れかけの地球儀」では、僕のアドリブのギターソロが炸裂した。
「Goodちょっとパラダイス」では、盛り上がりすぎて、客席にまで行ってしまいました。

Goodちょっとが終わっても、ドラムの山ちゃんのフェイントで、またはじまる。
最後は、クマのぬいぐるみを持って登場した。
歌いながら、クマを上に投げたりしていたら、マイクを落としそうになって、どっち付かず!! 慌ててクマは抱えたけど、結果、マイクを「ドーン」と落としてしまった。
この弾みで、口をぶつけたようで、唇からちょっと血が出てしまった。
それでも、本編がこれで終わりなので、このまま行くぞ!という気合いで、客席にポーンとクマのヌイグルミを投げて終わった。

袖に戻って、サンタの衣装を着て、クマのヌイグルミを入れた袋を持って、アンコールは登場。
会場に次々に投げ飛ばした。
そして「ただ見つめてただけの初恋」
さらに、最後は「ChangeMyHeart」をみんなで歌った。
この曲を歌いながら、すっごく幸せを噛みしめていた。
なんとも言えない幸せな気分だった。
いつもは、力が入る歌なのですが、今日はアンコールという事もあり、ずっと楽しい気持ちだったという事もあって、「あー、なんて僕は幸せなんだろう」って感じていました。

最後の曲が終わり、ステージをおりても、まだアンコールがなりやまなかった。

そして、たった一人で舞台に出た。

なんの台本もない、心の言葉が最後は、言葉になって、次々と出ていった。
そして、アカペラで「聖夜」をフルコーラス歌った。
なんの伴奏もないただの、僕の声が、会場に響き渡っていった。

「メリー、クリスマス・・・」
の最後のフレーズを歌い終えると、心の中には、確かな満足感と、充実感と、また会いたい感がわき上がった。
子供の頃、友達の家にお泊まりに行って、次の日の夕方帰るのがさみしかったような、そんな、気持ち。
「また、遊ぼうね!」じゃないけど、「また一緒に幸せなひとときを過ごそうね!」みたいな感じだった。

そして、頭を下げた所へ、緞帳が静かにおりて行った。

顔を上げると、もうそこは、幕の生地が見えるだけ・・・・。

「終わっちゃった・・」という切ない気持ちでいる僕に「お疲れさまでした!」沢山のスタッフが声をかけてくれる。
我に返って「お疲れさまでした!」と僕も応えた。

そう、なにかがはじまれば、必ず終わる時がくる。
ステージも選曲からはじまり、演出、リハーサルと、どんどん時の流れを越えて、やがて本番になる。そして、最後、幕が下りたら、すべてが終わる。
儚(はかな)いように感じるが、終わるのではなく、これはまた次への新たな出発でもあるのです。

そして、儚いという字を見てわかるように、あっけなく終わってしまった、形なく終わってしまったように見えるコンサートでも、人の心に夢をあたえているのだと思います。
もちろん、僕のコンサートが、そうだったというつもりはないが、そう感じてくれた人がいてくれたのなら、本当に嬉しい事です。

まぎれもなく、僕の心は、ちゃんと夢へのパワーをもらえました。

間奏中とかで、なるべく沢山の顔を覚えておこうと思ってよく見渡しています。
後ろの方で見てくれた方も、ばりばりノッてくれた方も、涙ながして感激してくれた方も、みんなみんな、僕の幸せです。宝ものです。

いつでも苦しい時、悩んでいる時、次への一歩は出ないものです。
もう絶対出ない、と思っていたその足が、意図も簡単に出る時がある。
それが、愛なんです。

愛する気持ち、愛されている勇気、すべてが心にぬくもりをあたえて、そして、次の一歩を踏み出せる、そして、人は、人生の旅を続ける。
僕も、毎回応援してくれる方の愛で、次への一歩を踏み出しています。

もしも僕の歌が、誰かの次の一歩のきっかけになってくれたら、すごく嬉しいです。

今回のテーマは「その愛の旅人」でしたが、そのメッセージを伝えたくてコンサートを作りあげたのですが、まさに、自分が教えられたテーマになってしまいました。

今日はすっごい腰痛で、頭も痛くて、たまに立ちくらみもしていて、ずっと大丈夫かな?って心配してた本番前でしたが、いざ幕が開いて、みんなの顔を見た時、拍手を聞いた時から、そんな事すっかり忘れていました。
本当にみなさんに感謝です。ありがとうございました。

ソニックシティを出発して、スタジオ到着。
その後も、スタッフと一緒に機材の積み替えや、事務仕事をして、終わったのは、夜中の2時でした。

すっかり冷え込んだ12月の夜空を見上げて、オリオン座を探してみた。

長い一日だったけど、いつも以上に沢山の笑顔に出会えた一日でした。

「寒い~!」
急に吹いてきた風が体に突き刺さった。

さて、今日はお風呂で温まって早く寝よう!(もうすでに早くないけど(笑))

今日のトークにもあったように、体をあっためるのは、ホッカイロや暖房器具等、でも心を温めるのは、目に見えない、形のない愛です。

だとしたら、心はいっぱいに温まったので、あとは体を温めよう。

わざと吐いた白い息の向こうで、
オリオン座は優しく、
そして温かく僕を見つめていた。


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