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東京23区、20カ所目大田区蒲田駅

11月から始まったキャンペーンもいよいよ大台、20カ所目の蒲田駅でした。

ここは2001年の全国ツアーの時にやった場所なんです。
栃木から移動してここへ来たのを覚えています。
その時のツアーは、全国の都市をまわるツアーで、東京の予定はなかったのですが、なぜここでやったかと言うと、蒲田に城南養護学校というのがあって、そこの方が沢山僕を応援してくれていたんです。

学校で呼んでいただいて歌った事もあって、「また聴きたいです、今度蒲田の駅でもいいから歌ってください」って言われてたのです。

そこで、栃木と水戸の間にこの予定を組みました。

その時は、家族と一緒に車椅子の方や、体の不自由な方も沢山駆けつけてくれて、駅前はコンサート会場の状態になりました。

みんな笑顔で聴いてくれて、本当に素敵な想い出があります。

そして今日、5年前と同じ場所で歌いました。

すでに2人組のミュージシャンが歌っていたのですが、生音でやっていたので、僕も迷惑にならない範囲の場所で、生音でやりました。
歌い出すと、会社帰りの人が沢山足を止めてくれました。

途中70年代の歌とかもやったりして、楽しかった。

2人組を見に行ったり、僕の所へ戻ってきたり、色々な人がいましたが、こうやって、一カ所で2アーティストの歌が聴けるっていいな、って思いました。
なんだか、大宮でやっていた頃を想い出しました。
大宮駅はいつでも5~6組のアーティストがやってましたからね(笑)

僕のすぐ横で聴いていた男性に、「いやー聞き惚れちゃうよ」とお褒めの言葉をいただきました。

しばらく歌っていると、のぼり旗をのぞき込んで、僕の方をすごい笑顔で見てくれる男性がいました。
歌い終えると、「さくまさん!!覚えてますか!?」

そうです、2001年の時に見てくれた方が、なんと偶然にも通りがかったのです!

「わー!!もちろん!覚えてますよ!」
まさかその時の方に会えるなんて思っていなかったので、すっごく嬉しかったです。

そして、「あの頃メインで歌っていた歌を歌います」と言って「遠い記憶」を歌った。

5年前の記憶が一気によみがえってきました。
すると、その男性が携帯電話を取り出して、誰かと話しをしはじめたのです。
そして、受話器を歌っている僕の方へ向けてほほえんでいました。
前に一緒に見てくれた、両親に電話をしてくれたのです。

最後に「両親もすっごく喜んでいました。懐かしい遠い記憶がまさか聴けると思ってなかったので、涙ぐんでいました」と熱く語ってくれました。

最後の最後まで見送ってくれて、「また会いましょね!」と僕も言って手を振った。

本当に僕はこの仕事が素敵だと感じています。
5年も経っているのに、歌声を聴いて覚えてくれていたのですから。
しかも、偶然にもこうして再会出来たのですから。
もし活動をやめていたら、もう会えなかったかもしれないのに、こうして会えた事が本当に感激でした。

「あの頃のお友達はお元気ですか」と聞くと、みんな元気なようで嬉しかった。

こうして、僕も勇気をもらえた日でした。
確かにあの日、2001年の蒲田駅でも僕は大きな勇気をもらいました。

今でも心の支えになっている出来事。
それは、彼と一緒に来ていた、車椅子の女性がいたんです。
ずっと、僕の歌を生で聴きたいと言っていて、大変な思いをして来てくれたんです。
来る時は両親と一緒に車で来たのでした。

そして、最後まで僕のステージを見てくれて、最後に握手をして、帰ろうとした時です。

「じゃあ元気で!」と僕が背を向けて、なにやらお母さんと会話をしているのが耳に入りました。
すぐに僕も振り向きました。

「よかったね、じゃあ、車を呼んで帰ろうね」とお母さんが言うと、その娘は「いいよ」と言って断るのです。
まだ帰りたくないのかと僕は思ったのですが、次ぎの彼女の言葉に涙があふれてきました。

「いいよ、車呼ばなくていいよ、こんな素敵な歌を聴いて、元気をもらったんだから、電車で帰れるよ」

その瞬間、お母さんも口元をおさえて涙をこらえていました。

僕も「ありがとう、平気だよね!ちゃんと電車で帰れるよね!」
と笑顔になって言いました。
彼女は僕を見つめて、最高の笑顔になって、頭をたてにふりました。

そして、何度も手を振って、駅の改札へと去っていきました。
僕も最後まで見送って手を振り続けました。

彼女と再会したのは、テレビの中でした。
歌と踊りが好きだった彼女の夢・・・。

翌年の24時間テレビのフィナーレで、モーニング娘と一緒に、車椅子のグループで踊る彼女がいたのです。
しかも、メインとして踊っていたのです。車椅子でも踊りが踊れる、そして夢をちゃんと叶えられる。
僕はテレビにかじりついて「やったじゃん!!」と言っていました。

その後も「テレビ見たよ」と僕がメールをした時に、彼女は照れくさそうに、「ありがとうございます」って返してくれました。

あの日から、僕も夢に向かったなら、ちょっとやそっとじゃ諦めない、という勇気をもらいました。

今日の蒲田駅には来ていなかったけど、また彼女と再会出来る日を楽しみにしています。

そして、今日、再会出来た事、そして、沢山の人の聴いてくれている姿、対面で歌っている2人組、すべてに夢があると感じました。

なにげない蒲田の駅前でのひとときでしたが、僕の心に沢山の勇気や優しさがわきあがった一日でした。

帰りの車も、暖房がいらない程の心のぬくもり・・・・。
「ハクション!」
くしゃみをした僕にスタッフが
「風邪ひいたら待っている沢山の方々に申し訳ないですよ」
と言って笑った。
暖房を付けて、「あったかいなー」と僕は言った。

それでも、この心の温かさには、よくきく車の暖房でさえかなわなかった。

「今日は双子座流星群ですよ」とスタッフが言って、空を見上げた。
曇っていて星は見えなかったが、確かに眩しい程に、輝く星を僕は見ていた。

心の中に輝いた夢という名の星を・・・。





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