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さいたま市民会館大ホール ~青い地球(ほし)~

いよいよやってきました!この夏、最大のビックイベント「~青い地球(ほし)インさいたま市民会館大ホール」
いつもは大宮ソニックシティーの小ホールで行っていたコンサートだが、今回は夏のスペシャルとして大ホールを企画した。僕の悪い癖「言っちゃたコンサート」である。いつも出来るかわからない事を先に口にして言ってしまって、実行に移すという極限の前向き主義なやり方である。もちろんリスクはいっぱいあるが、数々の困難を乗り切って当日を向かえた。この日までの流れはファンクラブ新聞「KumaKuma新聞」でお伝えします。
朝は9時に会場が開くのだが、早めに到着、8時ちょっと過ぎには搬入口に着いた。
すでにギターの須藤篤美(あつみ)さんが到着していた。
そして、大きなトラックが着いていた。「これはなんだろう?どこかで大きなイベントがあるのかな?」なんて思ったら、なんとこのトラック、今回のコンサートの照明さんのトラック! その後続々とスタッフが集まって、あっという間に30人くらいになった。
こんなに沢山の人がこのコンサートに携わってくれていると思うと本当に嬉しかった。
ミュージシャンも北原トモヤも早めに到着した。
「今日はすいてましたよ」と言っていつもの笑顔をこぼした。彼は川崎からやってきてくれるのだ。
さて、会場が開いて、準備が始まった。
あれよあれよという間に大きな舞台がコンサートの形に作られてゆく。
照明さんも毎回僕のコンサートをやってくれている黒須敦をはじめ一流ばかり。ちなみに黒須さんは「さくまさんの歌は全部歌えます!」というすばらしく楽曲を知り抜いた照明さんだ。
そして、舞台に監督の吉田さん、町田さん、そして新宿厚生年金会館の大御所、飯島さん、というすばらしい顔ぶれ。この飯島さんは毎回僕のコンサートの舞台を手際よく作ってくれる人だ。
そして友人の大工も来ていて、ステージ袖では、電気のこぎりや金槌の音が響き、大道具を作っていた。
音響は僕が10代の頃からの知人、滝野さんがモニターミキサー(メンバーの足下にあるモニタースピーカーの音を調整してくれる人)をやってくれた。そして毎回来ていただいている田村さん、そしてコンサートを動かしてゆく黒澤さんがいつものようにメインオペレーターについた。
ロビーもいつも手伝ってもらっている明木さんが担当してくれて、ビデオマンに友人の馬場君。
それ以外にも多数のスタッフが参加して動いてゆく。
ミュージシャンはドラム:山地厚臣、パーカッション:北原トモヤ、ベース:小野滋久、キーボード&ピアノ&コーラス:松井清、サックス:斉藤尚久、ギター:須藤篤美、そしてストリングスに「ドロップ」というグループ。バイオリン:三澤裕美子、北川菜美子、ヴィオラ:青木史子 チェロ:五十嵐あさか、という顔ぶれ。

そして僕のスタッフとして中村君が着いてくれた。
彼は僕のギターの弦をはったり、本番中の僕のギターの音色を切り替えたりしてくれた。実妙なタイミングが勝負の仕事を見事やってくれた。

途中スタッフやメンバー用の飲み物がなくなってしまって、セブンイレブンに買いに行った。今日も真夏の一日だ、と実感するような日だった。

午後2時過ぎ頃から、リハーサルが始まった。
さすが大ホール。いっぱい動けるほど大きくて、はしゃいでしまった。
第2部のリハーサルが終わり、ストリングスのメンバーの会場入りして、1部のリハーサル。時間をちょっとおしてしまって、開場になった。
毎回定刻でオープンできるように努力しているのだが、今回は本当に暑い中で待ってもらっていると思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
待っていただいた方本当にすいませんでした。

すぐに着替えをして、心の準備をした。
ステージ袖にいくと、すでに松井君もスーツで、ストリングスのメンバーも黒いおしゃれな格好でいた。
今回は第一部が「グランドピアノとストリングスのクラシカルなコーナー」これは初めての試みだったので、本当に緊張した。
時間がきて、松井君とストリングスのメンバーがステージに飲み込まれていった。
僕は後から登場なので、それを袖から見ていた。
その隣になぜか小野がいた。2部から出演のはずなのに、「なんでここに小野がいるの?」と言って「緊張感を味わいたくてさー」と言って、2人で笑った。
本番前は緊張感が最大になる。そこで一人でいるのは落ち着かないものだ、それを知っていて、小野はきっと袖にいたのだと思う。
小野がいると緊張感もやわらぐな・・・と思っていたその瞬間。
小野が一言「始まったよ!すごいじゃん!いい感じじゃん!」
僕が「いいねー、すごいコンサートになりそうだね」
最後に小野が「さくま!この後この中で歌うんだよー」
「・・・・・・」
さっきまで、緊張感が和らいでいたのに、一気に緊張してしまった。
おかしなやりとりが終わって、舞台監督の吉田さんのペンライトに誘導されて、いよいよ袖にスタンバイ。
「よし!心から心へ歌うぞ!」
そう言い聞かせて、いよいよ登場。
沢山の拍手がわいた。
一曲目は「ここにいるから」
さすがに弦とピアノで歌うこの歌は格別だった。
「この愛のエンディング」を歌い終えて、最初のトーク。この時もやはり緊張する瞬間だ。
前半のストリングスアレンジは松井君がやってくれた。そして後半は僕のアレンジ。
新曲「あのお化け屋敷はまだあるのかな」「愛を忘れない」と続いた。
そして、バイオリンとビオラ、チェロの各楽器の紹介をして、1フレーズ弾いてもらったりした。
お客さんも本物のストリングスの音に感動してくれたようだった。
そして「遠い記憶」「さよならも言えなくて」で第一部は終了。
じっくり歌ったー という満足感が残ったステージだった。

楽屋に戻って、すぐに着替え。
2部から出演のミュージシャンも着替えていて、気合いが入っていた。
楽屋にいると、舞台監督、照明、音響、次々にやってきてくれて、「問題ないですか?」と声をかけてくれた。「OKです!2部も宜しくお願いします」そう言ってみんな笑顔になった。
15分の休憩が終わり。いよいよ2部。
僕が緞帳のおりたステージに行くと、すでにみんな各楽器の前で準備完了だった。
一人一人に目で合図をして、いよいよ本番。
山ちゃんのドラムと北原君のパーカッションで緞帳が開いた。
「ChangeMyHeart」「YUMEしかなかった」と続き。僕がエレキを持って「壊れかけの地球義」。
照明も1部とは打って変わっての激しい動きになった。
「盛り上がってますかー!」の声にみんな「イェーイ!」と盛り上がった。
そして「出会えてよかった」斉藤君のサックスが響き渡った。
メンバー紹介も一人一人と会話して進んで行った。
そして、「明日から」という歌の解説をしていたら、いつの間にか「子供は早く作りましょう」という変なトークになってしまって、会場も笑ったまま曲に行った。
この「明日から」のアレンジは今回のステージでもすごく気に入っているアレンジだ。斉藤君のウィンドシンセの暖かい音と、松井君のエレピ、北原君のソフトなパーカッション、須藤さんのアコースティックギターが、絶妙な音を奏でていた。
「枯れない花」で再びエレキギターを持った。
新曲を2曲やった後で、僕は袖にはけた。
ここでメンバーによる演奏になった。アレンジは松井君だ。
ダークなイメージから明るく派手なフレーズに変わってゆく。
その頃僕は着替えをして、客席通路の扉で準備をしていた。
そうだ、客席から登場するからだ。
その時、舞台の飯島さんが、一緒に着いてきてくれて、「扉開ける時、声かけてね」と言って扉を開ける準備をしてくれた。
着替えが思ったより早く済んだため、大夫時間があった。その時の飯島さんの一言に感動した。
飯島さんは毎回コンサートを見てくれている、このコンサートはお客さんが見ているのは当然だが、スタッフも袖からずっと見ている。下手すると、通しリハーサルやら当日リハーサルやらで、何度も見ている。
その飯島さんが「回を重ねるごとに、上手くなってるよ!」と呟いた。
普段、舞台スタッフは「よかったよ」とか「ダメだった」とか意見を出してくれないのだが、初めて聞いたその舞台の大御所からの言葉は僕を勇気付けてくれた。
「いいえ!まだまだですよ!」と言っているうちにいよいよ登場になった。
「今です、お願いします!」
「がんばって!」
この時「Goodちょっとパラダイス」で出てきた僕は普段よりもいきいきしていたと思う。
ステージ上ではクマの着グルミが登場。
コンサートは最高潮を向かえた。
曲が終わって、クマが去ってゆこうとするが、山ちゃんの合図でまた曲が始まってしまう。その度にクマが慌てて帰ってくる。
メンバーも僕もお客さんもみんな笑顔になった。
そして「HeyMrクライマー」から最後の歌「愛色の虹」と繋がっていった。
アンコールの拍手が暖かく袖まで聞こえてきた。
舞台監督の合図で「いきましょう!」と言ってメンバーが入った。
僕はサングラスが曇ってしまって、曇り止めを付けていて、遅れてしまって、走って登場。そのままの勢いで逆の袖まで行ってしまった。
そしてアンコールは「元気でいますか」。
ここの入りがなかなか上手く行かずに、2回もやりなおしてしまった。
これもまた生ライブならではの事ですよね。
「元気」ではみんなで踊った。

今回コンサートが始まる前に小野と袖で話していた時に僕がこう言った。
「コンサートは始まっちゃえば、あとは終わりに向かうだけだから」
冗談で緊張しないように言った一言だったが、それは紛れもなく真実である。
幕が上がれば、後はどんなに歌い続けていたくても、幕が下りてしまう。

最後にその「始まれば終わりに向かう」という言葉が頭の中によみがえっていた。
「やっと終わりだ」という心と、「もう終わりか」という心が揺れていた。

コンサートに向かって何ヶ月も前から準備をして何度も何度も考えなおして、当日がやってくる。その時は終わる事なんて考えていない。でもいつもコンサートの最後になると、「終わりか」と実感する。
本当にコンサートとは不思議なものだ。
ピアノじゃなくて、キーボードでいいんじゃやない、ストリングスじゃなくて、シンセでいいんじゃない、照明ももっと少なくていいんじゃない、スピーカーもっと少なくていいんじゃない、舞台道具そんなにこらなくていいんじゃない、クマなんて一瞬だから必要ないんじゃない、・・・・ほんの2時間のステージの為にそこまでやらなくていいんじゃない。  そう言ってしまえばきっとすごく楽だと思う。
でも、舞台さんが「ここに台作る」照明さんが「この歌にはこの明かりが必要だ」音響さんが「このスピーカーじゃなければさくまの声がいかせない」そして僕が「クマを登場させたい」「生のストリングスを聞かせたい」「2部構成にしたい」
そんな各セクションのこだわりがあって、たった2時間の為に惜しみない2ヶ月を費やす。
これは当たり前の事だと思うが、このホンの一瞬にかける沢山の人の夢が一つになるコンサート。これは本当に最高の夢の固まりだと思う。
そして、それを見て、聞いて感じてくれるお客さんがいる。
かけがえのない時間があっという間に過ぎてゆく。

そして最後の歌「青い地球(ほし)」がはじまった。
いろいろな事を考えていたら、つい歌い出しに心が間に合わなかった。
須藤さんに合図をだしてなんとか歌い出せた。
全員参加のこの歌は本当に感動だった。
最後はみんなで大合唱。
バックには大きな地球が姿を見せた。

この青いほしは誰のもの、みんな意味があって生きてる・・・
本当にそうだ、みんな意味があって生きているのだ。

今回のテーマは「青い地球」という大きなテーマだったが、実は大きいようで、簡単な事なのだ。
自分の一番そばにいる人を愛する事、そしてその優しさが、また誰かを優しくする、それが大きくなっていった時に地球規模の大きな愛になるのだと思う。

僕は今日、お客さんから沢山の愛をもらえたと思う。
そして、そのエネルギーで次のコンサートへつなげていく、優しさの配達人とでも呼んだらよいのだろうか? そんな風になりたいと思った。

こうして、2005年夏のコンサートが終わった。
終わった、という言葉は決して無になったという事ではないと思う。
想い出に変わって、いつまでも心で生きているのだと思う。

「コンサートが始まれば、あとは終わるだけ」でもその続きがある事を帰り道で気付いた。
「コンサートが終われ、また次のコンサートが始まる」

汗だくになった主要スタッフが集まった搬出口でだれかが言った
「さて!次などんなステージにしようか!」
「終わったばかりですよ!ちょっとだけ休みましょうよー」
「じゃぁちょっと休んで、また出発だ!」

みんなの笑い声が静まりかえった大ホールの壁に響いていた。

本当に最高のステージが出来ました。会場に着ていただいた方、本当にありがとうございました。都合でこれなかった方は是非次回はこれる事を祈っています。
次回12月3日の大宮ソニックシティー小ホールでのコンサートに向かってまた歩き出します!
その間もいろいろなステージがあります。
これからもさくまひできを是非応援してください。精一杯がんばっていきます!!








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