(第1部) いよいよ5分前のベルが鳴り、楽屋やステージ裏にも緊張が走ります。 幕の中だったので、今回ははじめっからギターを持って椅子に座っていました。 この瞬間が緊張です。 幕一枚挟んだ向こうは沢山のお客様です。 ざわざわと声も聞こえてきます。 まだ、舞台スタッフや音響スタッフはステージ上をフラフラしているので、安心なのですが、時間が経つにつれて、人が減って行きます。 そして、舞台監督さんの「ではさくまさん、幕が開いたらお願いします」という一声を最後に、僕一人がステージ上に残される。 やがて客電が消えたのか、会場がシーンとなる。 そして、静かに幕が上がる。 一気に会場に拍手がわき起こる。 「やるぞ・・・」 そう心でつぶやいてから息を深く吸って歌い出す 「隣の芝生は青く見えなかった」 2010年4月のクレアこうのすコンサートのメインソングでもある この歌を最初に歌うという事は ある意味、僕の強い思いがあった。 前回のコンサートの上塗りじゃない、いわば続きのような 新鮮なコンサートなのだという意味があった。 そして、父への思いをメインテーマに歌った前回から 今回はその哀しい心も、オレンジになって行くという意味があった。 歌い終わると、巨大な拍手。 そして、トークになる。 今回のトークもほとんど台本は作らなかった。 なので、その場、その時に心から発する言葉が出ていった。 2曲目はピアノで歌い、 終わると、フルーティストの横田美穂さんが入ってくる。 目で「いくよ」って合図をしてから カウントもなく「南恋歌」。 ピアノの響きとぬくもりのあるフルートの音が 会場を埋め尽くして行く。 そして、ギターに持ち替えて、ここからはフリートーク 二人でふるさと自慢の話。 これもなんのリハーサルもなかったので、横田さんの思わぬ「電車から見る景色がいいな~って思うんです」という言葉が逆にあったかくてみんな笑顔になった。 そして会場が一つになって「日本一こうのすびっくりひな祭り」で盛り上がった。 最後に横田さんが祭囃子を吹き始めて、びっくり! 僕もついついギターを太鼓のようにたたいて、お祭りのようになってしまいました。 第1部最後の歌はふるさとの話をした後です。 みなさんの心の中のふるさとを思い浮かべて聞いてくださいと言って 「どこで暮らしていても」 これも本当は僕のカウントではじまる予定だったのですが カウントをしないまま、二人の呼吸でイントロに入りました。 この第1部はすべてがステージで生まれた感じでした。 普通なら練習を何度もして、練習通りにやればそれでうまくいくのですが それ以上にその場の空気を感じで二人で演奏する事がテーマでした。 それを完璧にやってくださった横田美穂さんは本当に素晴らしいです。 そして、僕の歌もよりいっそうお客様の心に届いたと思います。 全5曲という短いステージでしたが お客様からはあったかい気持ちを沢山感じました。